野鳥の写真を撮ろうとすると速いシャッター速度で鳥の動きを止めたい。するとシャッターが開いている時間が短いためにカメラに入ってくる光の量が少ない。するとどうしても絞りを大きく開けたくなる。それが下の図の上側に相当します。レンズを通って撮像素子(フィルム)で像を結ぶわけですが、その前後に「まあこのくらいだったらピントが合っていると思っても良いな」と思う範囲。絞りが大きく開いているとその範囲がとても短くなっているのが判るかと思います。つまり、被写体への距離をちょっと間違えただけでピントがぼけてしまうのです。
それに対して下側は光が入ってくる穴がとても小さくなっている。すると撮像素子に向かう光の束も細くなる。その結果、「まあこのくらいだったらピントが合っている」と思える範囲がグッと広くなるのです。その分、ちょっとくらい距離をミスしたからと言ってピントがぼけているようには感じにくくなってしまうんですよね。(んん?絞りの位置とレンズの位置が逆か?)
全開状態にすると光がたくさん入る、一目瞭然ですよね。でも光を通さない状態も被写界深度を稼げるという大きなメリットがあります。明るすぎるときの対策も勿論。
これを上手く使うと写真を撮ったときの奥行きの表現などに使えるわけですね。
これは野鳥の写真ではないです。ヒトリシズカという春に咲く野草の写真ですが、絞りを思い切り開けた結果一つの花にしかピントが合っていないですよね。
これは藪の中に隠れたアオジです。植物の緑が完全にぼけてその先にアオジの顔がくっきりと出てくる。そんな効果も狙えるはず。こうして自分が撮影したい対象を引き立たせることができるのが絞りのもう一つの効果です。